CLM(契約ライフサイクル管理)とは
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CLM(Contract Lifecycle Management)は、契約の依頼・審査・締結・更新・管理という一連の流れ(ライフサイクル)を、一つのシステム上で一気通貫に管理する考え方です。法務AIの現在地で整理した四領域のうち「管理」に軸足を置いたサービス群であり、個々の契約書の中身を精査する契約審査AIとは目的が異なります。契約書が紙やメール、個人のPC上に散在している状態では、そもそも自社にどのような契約が何件あり、更新期限がいつなのかを正確に把握すること自体が難しく、CLMはその可視化の基盤として位置づけられます。
特に自動更新条項が付いた契約は、担当者が期限を見落とすと、不要な契約が意図せず更新され続けてしまうリスクがあります。CLMはこうした更新期限をあらかじめアラートとして通知する機能を備えていることが多く、契約件数が増えるほど、人手による期限管理の限界を補う仕組みとしての価値が高まります。
比較表:CLMサービス(6社)
| サービス名 | 運営会社 | サービス形態 | 特徴的な強み | 料金体系の種類 | 無料デモ・トライアル | 公表されている実績 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ContractS CLM | ContractS株式会社 | クラウド型契約ライフサイクル管理 | 依頼受付・審査・締結・更新・管理を一気通貫で一元化 | プラン制(要問い合わせ) | 無料体験デモあり | 導入企業ロゴを40社以上公式サイトに掲載 |
| Hubble | 株式会社Hubble | AI契約業務・管理クラウド | 契約書の作成段階からの共同編集・コメント機能 | 見積もり制(要問い合わせ) | 見積もり・トライアル相談窓口あり | 継続契約率99%、大塚製薬等の導入企業例を公式サイトに掲載 |
| MNTSQ CLM | MNTSQ株式会社 | 契約データベース・CLM | 機械学習による契約データの解析・リスク可視化 | 初期費用+月額の見積もり制 | 資料請求・デモの案内あり | 大手企業50社以上が利用(公式サイト記載)。IHI・江崎グリコ・オムロン等の導入企業例を掲載 |
| LegalOn Cloud | 株式会社LegalOn Technologies | AI法務プラットフォーム(CLM機能を含む) | 契約審査からCLMまでを同一基盤で構築可能 | プラン制(複数プラン) | 無料デモあり | グローバル9,000社超が導入(2026年7月時点) |
| Sansan Contract One | Sansan株式会社 | AI契約データベース | 紙・電子を問わず契約書をデータ化し、関連契約を自動で紐付け | 公式サイト参照 | 公式サイト参照 | 公式サイト参照(具体的な導入社数の記載は確認できず) |
| DocuSign CLM | Docusign, Inc. | CLMプラットフォーム(電子署名との統合) | Salesforce・SAP Ariba等の外部システムとの連携 | 公式サイト参照(別ページにプラン案内あり) | 公式サイト参照 | Docusign全体で約190万社が利用(CLM単体の数値ではなく同社サービス全体の数値) |
2026年9月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。
プレイヤー別プロフィール
ContractS CLM
ContractS CLMは、ContractS株式会社が運営するクラウド型の契約ライフサイクル管理システムです。事業部門からの相談・依頼受付を起点に、審査、締結、更新、管理までの一連のプロセスを一つのシステム上で自動化・最適化することを目指しています。AIが契約情報の読み取りや、担当者が次に何をすべきかの判断を支援する機能を備えており、法務部門だけでなく、契約を起案する事業部門側の使いやすさにも配慮した設計になっています。公式サイトには40社以上の導入企業ロゴが掲載され、無料体験デモの申し込み窓口も用意されています。
Hubble
Hubbleは、株式会社Hubbleが運営するAI契約業務・管理クラウドサービスです。契約書の作成段階から、社内関係者とのコメントのやり取りや修正履歴の管理、締結後の保管・検索までを一つのプラットフォームに集約している点が特徴です。公式サイトでは継続契約率99%という数値が公表されており、100社以上の導入企業ロゴが掲載されており、公式サイトでは企業の規模や業界を問わず利用されていると案内されています。Slackや電子契約サービスとの連携機能も備えており、法務部門と事業部門が同じ画面上で契約書のやり取りを進められる設計が志向されています。
MNTSQ CLM
MNTSQ CLMは、MNTSQ株式会社が運営する契約データベース・CLMサービスです。機械学習アルゴリズムを用いて契約データを解析し、契約プロセスの速度向上と法務リスクの可視化を図ることを目的としています。公式サイトには、IHI、江崎グリコ、オムロン、小松製作所、三菱UFJフィナンシャル・グループなど、大手企業50社以上が利用していると記載され、東京エレクトロン、住友商事、ニトリホールディングスなど32件の導入事例が公開されており、大企業を中心とした導入実績が確認できます。料金は初期費用と月額費用からなる見積もり制で、企業の課題や利用規模に応じて個別に算定される仕組みです。
LegalOn Cloud
LegalOn Cloudは、株式会社LegalOn Technologiesが提供するAI法務プラットフォームで、契約審査機能に加えてCLM(契約ライフサイクル管理)の機能も同一基盤上に構築できる点が特徴です。案件管理、契約書作成、電子署名、法令調査といった複数の機能を必要に応じて組み合わせられる設計になっており、公式サイトでは2026年7月時点でグローバル9,000社超が導入していると公表されています。契約審査サービスとしてすでに導入している企業が、そのままCLM機能へ拡張しやすい点も、他社との比較でおさえておきたいポイントです。
Sansan Contract One
Contract Oneは、名刺管理サービスで知られるSansan株式会社が運営するAI契約データベースです。紙・電子を問わずさまざまな形式の契約書を独自技術でデータ化し、契約の有効性や、複数の契約書同士の複雑な関係性を正確かつ網羅的に把握できるデータベースの構築を目指しています。公式サイトでは、AIによる契約サマリー機能や、新旧社名の一括検索、契約更新管理の強化といった機能拡張が継続的に発表されていますが、具体的な料金や導入社数の数値は公式サイトのトップページでは確認できませんでした。詳細は公式サイトの資料請求からご確認ください。
DocuSign CLM
DocuSign CLMは、電子署名サービスで広く知られるDocusign, Inc.が提供する契約ライフサイクル管理プラットフォームです。契約の作成、交渉、署名・捺印、保管、検索・分析・更新という五つの工程を一つのシステムで扱い、Salesforce、SAP Ariba、Coupaといった外部の業務システムとの連携に対応している点が特徴です。公式サイトでは、Docusignのサービス全体で約190万社の顧客に利用されていると公表されていますが、これはCLM単体の導入社数ではなく電子署名を含むDocusign全体の顧客数である点に注意が必要です。すでに電子契約サービスとしてDocusignを利用している企業にとっては、契約データの管理までを同一ベンダーで拡張しやすい選択肢といえます。
導入設計の進め方
CLMの導入は、いきなり全社の契約を一括で移行しようとすると、現場の負荷が大きくなり途中で頓挫しやすい取り組みです。実務上は、まず契約件数が多く、かつ更新管理の抜け漏れが起きやすい契約類型(例えば取引基本契約や賃貸借契約など)を対象に小さく始め、運用が定着してから対象範囲を広げていく進め方が現実的とされています。導入初期には、既存の契約書をどこまで遡ってシステムに取り込むか(過去分のデータ移行範囲)を決めることも重要な論点です。
また、CLMは法務部門だけでなく、契約を起案する事業部門やお金の流れを管理する経理部門にも影響が及ぶ取り組みです。導入前に、どの部門がどの権限でシステムにアクセスできるのか、契約の承認フローをどこまでシステム上で完結させるのかを事前に設計しておくことで、運用開始後の混乱を減らすことができます。既存の電子契約サービスを利用している場合は、そのサービスとのデータ連携が可能かどうかも、比較検討の重要な軸になります。
電子契約サービスとの連携と法的な前提
CLMは締結済み契約の保管や更新管理を担うため、既存の電子契約サービスとの連携可否が導入設計上の重要な確認項目になります。たとえばSansan Contract Oneは、公式サイトでクラウドサイン、Adobe Acrobat Sign、Docusign、電子印鑑GMOサインとの連携に対応していると案内しており、DocuSign CLMは自社の電子署名サービスと一体で提供されています。自社がすでに利用している電子契約サービスと、検討中のCLMが連携できるかどうかは、比較表の項目だけでは読み取れないため、各社の公式サイトや資料請求で個別に確認する必要があります。電子契約サービスそのものの比較は、姉妹サイトの電子契約の選び方(cloud-contract)で扱っています。
また、CLMに含まれるAI審査機能を使う場合も、AI契約レビュー単体のサービスと同様に、法務省が公表した「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」(法務省、2023年8月)で示された考え方が前提になります。AIの出力を利用者自身が確認し、最終判断を行うという運用は、CLMを全社に展開する際に事業部門側にも周知しておくべき事項です。詳細は法務省ガイドラインと弁護士法72条の整理をご覧ください。
電子帳簿保存法との関係
CLMを検討する際には、契約書の保管が電子帳簿保存法の要件とどう関係するかも確認しておく必要があります。電子取引で授受した契約書データは、一定の要件のもとで電子データのまま保存することが求められており、検索機能の確保やタイムスタンプの付与など、システム側が満たすべき要件が定められています。CLMサービスを選定する際には、自社が保存すべき契約書の類型について、これらの要件にどこまで対応しているかを公式サイトや営業担当者に確認することをおすすめします。
また、CLMの多くは電子契約サービスとの連携を前提に設計されていますが、紙で締結した契約書をスキャンして取り込む運用と、最初から電子契約で締結する運用とでは、必要な機能や確認すべき要件が異なります。すでに紙の契約書が大量に存在する企業では、過去分の取り込み作業(スキャン・データ化)にどの程度の工数がかかるかも、導入コストを見積もるうえで確認しておきたいポイントです。
まとめ:次に読むページ
CLMは契約審査AIと排他的な選択肢ではなく、多くのサービスが両方の機能を段階的に提供する方向に進化しています。自社がまず解決すべき課題が「個々の契約書の審査」なのか「契約データ全体の可視化」なのかを見極めたうえで、AI契約レビュー比較表とあわせてご検討ください。一人法務における優先順位のつけ方は一人法務の導入順序とROIの測り方で解説しています。表の内容に関する出典は運営者情報ページの出典方針もご参照ください。
